Thiele, J., Kausalität in der muʿtazilitischen Kosmologie: Das Kitāb al-Muʾaṯṯirāt wa-miftāḥ al-muškilāt des Zayditen al-Ḥasan ar-Raṣṣāṣ (st. 584/1188), Leiden: Brill, 2011.
先日注文していたものが、本日届きました。理性の行使を重視したことで知られるムウタズィラ派神学は8世紀の終わり頃から9世紀の半ば頃、アッバース朝カリフの保護を得て、いわば御用学派としての立ち位置を確立していました。しかし9世紀半ば頃から同派は同朝カリフの保護を失い、以降は主にシーア派によって受容されていったと言われています。本書はこれまでほとんど注目されてこなかったザイド派(シーア派の1分派)におけるムウタズィラ派神学の受容を、はじめて主題的に取り上げた研究です。以下が背表紙に付された紹介文です(本文はこちら)。
ムウタズィラ派神学研究におけるザイド派文献の重要性は、1950 年代イエメンでユニークな写本群が発見されたことにより、はじめて一般に認識されるようになった。にもかかわらず、ムウタズィラ派思想がイエメンのザイド派によってどのように受け継がれ、またどのように受容されたかについては、現在に至るまでほとんど研究されていない。ハサン・ラッサース(1188年没)はこうしたプロセスの12世紀における最重要の主唱者の1人であった。彼は自然哲学的な諸問題に関する著作を数多く残しているが、それらの中には因果律に関して体系的に論じた著作も含まれている。本書ではこの因果律に関する著作が包括的に検討され、さらに同著作の批判的校訂もなされている。本研究はイスラームの精神史における魅力ある1章について洞察を与えると同時に、因果律に関するムウタズィラ派の理論体系をはじめて分析したものである。
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