Samstag, 29. Juni 2019

クトゥブッディーン『アラビア語演説:技巧と機能』

Qutbuddin, T. (2019): Arabic Oration. Art and Function (HdO 1.131). Leiden: Brill. [xvi, 644 pp.]

全人文学徒、少なくとも全アラビスト待望の、古典アラビア語演説に関する包括的な歴史研究が出版されました。この感動を全日本語話者と共有すべく、以下、出版社の公式ページから要旨と目次を和訳(意訳)して転載します。

『アラビア語演説:技巧と機能』は、実例となる数々のテクストとオリジナルな翻訳をふんだんに収録したナラティヴである。本書でターヘラ・クトゥブッディーンは、この傑出した文学ジャンルをめぐり、その口述面での基礎が形づくられた時代、西暦 7-8 世紀に焦点を当て、包括的な理論を提示する。著者はまず預言者ムハンマドやアリー、他の政治的軍事的指導者、さらには数々の著名な女性に帰される講話・説教の分析を通じて、演説とテーマ、保存状況と出自、構造とスタイル、演説者と聴衆のあいだの権威関係のダイナミクスに関し、それぞれの範となる諸類型を査定する。そして口述文化から高度な教養文化へのシフトや、中世の公文書簡に対する演説の影響に関しても、考察を行う。くわえて当該ジャンルが現代のムスリム世界にどう反響しているかも探ることで、著者は今日のモスクにおける礼拝指導者や政治指導者の講話を解読するための高感度ツールを提供する。

序論 1-20
演説の保存状況:記憶術にもとづく口承、補筆、そして真正性の問題 21-63
演説の構造:宗教的・政治的メッセージを強めるために慣習的に採用されてきたさまざまな構成要素の文脈化 64-90
演説のスタイル:口述性と説得の美学 91-164
演説家と聴衆:公的空間と権威、交渉のダイナミクス 165-228
宗教顧問(?: Pious Counsel)の説法:人倫、有徳な生、そして来世への準備 229-274
金曜日と祝祭の説法:儀礼と敬虔、政治と戦争 275-291
戦闘演説:馬と剣、戦術と倫理、発奮と祈り 292-332
政治的講話:継承と即位、管理と政策 333-368
その他のカテゴリー:立法、神学、神託、婚姻に関わる演説 369-382
女性の演説:王権にもとづく権威、沈黙を破るトラウマ 383-405
口述と文語のハイブリッドな連続体に観るアラビア語散文への演説の影響 406-431
現代ムスリムの説法と講話に対する古典期アラビア語演説の影響 432-484
演説の補遺:レファレンスとインデクス 486-551
初期のアラビア語演説家 552-561
アラビア語文学ターム
文献目録
索引

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