トッド『クーナウィーの形而上学的人間論』

Todd, R. (2014): The Sufi Doctrine of Man. Ṣadr al-Dīn al-Qūnawī’s Metaphysical Anthropology (IPTS 90). Brill: Leiden. [forthcoming].

クーナウィー思想を正面から取りあげたモノグラフがついに、しかもあのIPTS シリーズから、出版されることになりました。ウェブサイトの情報によれば、出版は今年の5 月を予定しており、分量的にはおよそ240 ページ程度になるとのこと。それほど浩瀚なものではないようですが、後期思想における神秘主義・秘教主義の展開に興味をもつ人にとっては、要チェックでしょう。そして何よりも、私自身にとってマストアイテムとなるはずです。クーナウィーの生涯と思想について英語で読めるようになる日がすぐそこまで来ています。そのよろこびをかみしめつつ、以下に内容紹介の短文を引用しておきましょう。

「リチャード・トッドは本書において、イブン＝アラビーの一番弟子であるサドルッディーン・クーナウィー（西暦13 世紀）の生涯と思想を検証する。複数の写本史料を用いつつ、彼はクーナウィーが人間存在の本性と目的をめぐって抱いていた秘教的ヴィジョンを分析し、それを当時の歴史的文脈内に位置づける。なお〔こうした秘教的人間論は〕クーナウィーの形而上学・宇宙論・魂論・終末論の中核諸要素を包摂する議論である。〔本書では〕クーナウィー思想がイブン＝アラビー、およびイフワーン・サファーとの関係のなかで位置づけられ、さらに彼とアヴィセンナ〔哲学〕の伝統との相互関係に関しても、哲学者トゥースィーとの対話に焦点を当てて検討される。〔本書における分析を通じて〕クーナウィー自身もまた、師ほど有名ではないにせよ、洗練された形而上学者であり、〔後の〕スーフィー思想に対して多大な影響を与えた人物だったことが明らかになるだろう。.」

なお、このTodd という研究者、私自身はまったく存じ上げていなかったのですが、10 年ほど前にオックスフォードで本書の原形となる博論を提出しているようです。調べてみると、これがそれのようですが、何故かEThOS では検索をかけても引っかかりません。