Freitag, 15. November 2013

ヒーヴィー業務はじまる

懸案の1 つだったヒーヴィー(Hilfswissenschaftler)業務が本日からようやくはじめられることになりました。契約書自体には夏休み前からサインしてはいたのですが、研究室お抱えの事務員さんがどうやら夏休み中に病気になってしまったようで(いまもまだ出てこられていない)、事務関係の書類が山積されるがままになっていて、指導教員としても何をどうしたらいいのかわからず、結果、ただただ放置されているという状況がつづいていたのです。依然として労働契約やら所得税の課税・非課税などをめぐっていろいろと不明瞭な点はあるのですが、とりあえずは指導教員が現在進めているポスト・アヴィセンナ期の哲学・神学テクストのデータベース化というプロジェクトのお手伝いをしていくことになりました。そしてそのとっかかりとして、まずはファフルッディーン・ラーズィー(1209 年没)のal-Mulaḫḫaṣ fī l-ḥikma(『叡智提要』)の内容細目(ゆくゆくはテクスト打ち込みなども)を、ベルリン写本(Cod. Staatsbibliothek Berlin or. oct. 623[1278 年書写])をもとに作成していくということに。なおal-Mulaḫḫaṣ は論理学部・形而上学部(存在論)・自然学部(神学含む)の3 部から構成されていますが、論理学部はすでに校訂されているため、作業は形而上学部からはじめようと思います。

[後日付記]
ベルリン写本を紹介したSellheim の記述を見ると、どうやらこの写本中では形而上学の後半部と自然学の冒頭部が欠落しているようなので、以前シリア語文献学の先生からデータをいただいていたライデン写本(Cod. Bibliotheca academiae Lugduno-Batavae or. 132[書写年代不明・おそらくかなり古い;cf. CCO 3, 357-58 (no. 1510)])も並行して参照していくことにしました。ちなみにこのライデン写本、マグリブ体で、印刷もところどころ不鮮明、さらに欄外には時折シリア語書き込みも散見され、もしかすると(と先生曰く)バルヘブラエウス(1286 年没)が書写したのかもしれない(cf. 1r: “bi-ḫaṭṭ […] al-Mafryān”)というもの。私などの手にはあまる難物ですが、本業の片手間、何となくながめるだけならすこぶる楽しい史料です。

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