Mittwoch, 2. Oktober 2013

ファナーリー『コーラン開扉章注釈』内容一覧

ひさしぶりに一次資料関係のポストです。いままで曲がりなりにも『親密の灯』という著作がもつ構成それ自体を理解しようと悪戦苦闘してきたわけですが、いかんせん、この著作、常に論理的・体系的に書かれているわけではないため、全体の論理を読みとることが容易ではありません。そこで最近は『親密の灯』だけにこだわるのはやめて、他の著作中にも散らばっていると思われる彼のさまざまな関連発言を集めることで、ファナーリー思想の諸相を再構成するという方向にシフトしようと考えています。その手始めとして、少し前からまずファナーリーの最晩年の著作と言われる『コーラン開扉章注釈』の内容一覧を作成してみています。一覧といっても、とりあえず自分で作らないと何もない状況なので、まずはごく簡単なものにならざるをえないのですが。なお管見のかぎりでは、刊本は次の一点のみ。そのため、以下に示す章分けおよび頁・行番号はすべてこの版に基づいたものです。

Fanārī, Šamsaddīn al-: ʿAyn al-aʿyān. Dersaadet: Rıfat Bey matbaası 1325-26 [1907-08].

内容一覧
  序文[2, 2-]
[I]第1部:コーラン注釈学の定義について[4, 6-]
  [I.1]第1章:定義[4, 7-]クトゥブッディーン・ラーズィー
   『カッシャーフ注釈』などへの参照多数
  [I.2]第2章:タフスィールとタアウィールへの区分[5, 18]
   〔同上
  [I.3]第3章:その双方を行うことが可能であることについて
   [8, 1-]
  [I.4]第4章:「内的意味」ないし「外的意味」、および「内的
      意味」「定義」「maṭlaʿ」などと呼ばれるその双方が有する
      諸側面について(?)[9, 13-]
  [I.4.b]「慈悲深く慈愛遍き神の御名において」という文言が有
      する意味の諸段階に関する比喩的説明[10, 22-]
  [I.5]第5章:コーラン注釈学は集団的義務(farḍ kifāya)である
   [12, 8-]
  [I.6]第6章:コーラン注釈を行う際の源泉、すなわち教友と
      第2世代などについて[12, 17-]
  [I.7]認識の諸実相とその諸区分、ならびに諸態様(ṭuruqi-hī
      について[13, 7-]〔哲学的知性認識論と知の分類〕 
[II]第2部:コーラン注釈学が必要とされる根拠について[17, 1-]
  [II.1]第1章:ある任意の学が必要とされる〔度合い〕は、
      その学が何を探求対象とするかによる。[17, 2-]
  [II.2]第2章:学の有する徳について(それは啓典・預言者の
      言行・伝承・理性によって指し示される)[17, 24-]
  [II.2.b]小結:有益な諸学と啓示に関わるものども(šarʿiyyāt
      の確定[24, penult.-] 
  [II.3]第3章:コーランとその章・読み・流派(?: ahl)の有す
      る徳について[28, 15-]
[III]第3部:コーラン注釈学の主題は高貴なるコーラン[41, 14-]
  [III.1]第1章:コーラン注釈学の主題とは(fī taʿrīfi-hī)[41,
      20-]学問論
  [III.2]第2章:その普遍的諸性質(aḥkām)について[43, 29-]
  [III.3]第3章:コーランの集成(?: ğamʿ)について[67, 9-]
  [III.4]第4章:コーランのもつさまざまな名前について[70, 3-
   〔神名論〕 
  [III.5]第5章:コーランの諸部分・諸区分について[73, 6-]
[IV]第4部:コーラン注釈学の射程について[85, 8-]〔-222, 10:
    序論 / 92-93: 述語付け論[?]〕
  [IV.0.a]「慈悲深く慈愛遍き神の御名において」という文言
      について[125, 7-]
  [IV.0.b]コーラン注釈学中で思弁神学に関わりのある諸議論
   [146, 9-]〔146-47: 神の属性論 /「名」と「名指されるもの
      との関係性
  [IV.0.c]開扉章について[170, 8-]
  [IV.1]第1章:中間世界的身体について[222, 11-]
  [IV.2]第2章:復活の際の身体について[225, 17-]
  [IV.3]第3章:楽園での身体について[236, 1-]
  [IV.4]第4章:獲得される身体について[239, 19-]

ざっと見たかぎりでは、下線部が私にとって重要な箇所です。ただし[IV]の序論部と思しき箇所(85, 8-222, 10)は分量的にかなりの比重を占めているため、少し詳しめに内容を確認する必要があります。

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