Dienstag, 17. Mai 2011

ファナーリーの形象論19

先日のポストでも書きましたが、投稿までに片づけなければならないタスクの1つに、カーシャーニー('Abd al-Razzaq al-Kashani, 1330年頃没)の『叡智の台座注釈Sharh Fusus al-hikam』が執筆された年代を探るというものがありました。同書の執筆年代については、まさにその同書中でカーシャーニー自らが示唆しているのですが、果たしてこれを鵜呑みにしてよいものか。そこでいくつかの先行研究を(読むともなく)読んではみたのですが、どうもバッチリの記述には出くわしません。とすれば、カーシャーニー自身の発言を否定する根拠も特にないわけで、注で参照するために、問題の執筆年代への示唆が見られる先日理解できなかった箇所を読み直してみました。以下がその和訳と原文です。

即ち〔神は〕彼〔=イエス〕の肉体(jism)を自然の塵芥どもから浄化されたのである。何故なら彼は形象的で霊的な肉体のうちに具象化した聖霊(ruh)だからである。そのため彼はヒジュラから730年のこの我々の時代において、1000年を336年上回るほどの長きにわたって〔この世界に〕存続しているということになる。何故なら我らが預言者――彼の上に平安あれ――の生誕から我々のこの時代に至るまで781年が経っているからである。


أي خاصّةً طهّر جسمه عن الأقذار الطبيعية فإنّه روح متجسّد في بدن مثالي روحاني ولذلك بقي مدّةً مديدةً زائدةً على ألفٍ في زماننا هذا وهو من الهجرة سبعمائة وثلاثون بثلاثمائة وستّة وثلاثين فإن من ميلاد نبينا عليه السلام إلى زماننا هذا سبعمائة وإحدى وثمانين سنة.

Kashani, Sharh Fusus al-hikam, ed. Najafzadah, p. 352, lines 3-6.

この一節からわかるのは、(1)カーシャーニーがこれを書いているのがヒジュラ暦730年だということ、そして(2)それがムハンマド生誕781年であり、かつ(3)イエス生誕1336年でもあるということ――以上の3点です。先日この箇所を読んだときには、(1)についてはよいとして、(2)と(3)の数字がどう関連するのかがよくわかりませんでした。しかし今回これに先行する箇所で、カーシャーニーが「イエスはムハンマドよりも555年先に生まれた」と言っていることに気付きました(Ibid., p. 351, lines 3-4)。つまり781(ムハンマドが生まれてからの年数)+555(イエスが生まれてからムハンマドが生まれるまでの年数)=1336年(イエスが生まれてからの年数)ということのようです。 そんなわけで、今回の論文では彼の発言に依拠して、『叡智の台座注釈』の執筆年代はヒジュラ暦730年(=西暦1329/30年)頃であり、従って同書中でのカーシャーニーの議論を参照している『プラトン的知性的形象al-Muthul al-'aqliyah al-Aflatuniyah』の成立年代は14世紀初頭から15世紀初頭辺りであるとすることにしました。

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