Samstag, 9. April 2011

NIHU論集刊行

またしてもひさしぶりの更新になってしまいました。面目ないです。私も寄稿させていただいたNIHU論集が先日ついに刊行されました。ざっと見た限り、まだウェブ上に目次は掲載されていないようなので、以下に書誌と内容一覧を挙げておきます。

小林春夫・阿久津正幸・仁子寿晴・野元晋(編)『イスラームにおける知の構造と変容:思想史・科学史・社会史の視点から』(早稲田大学イスラーム地域研究機構、2011年).

はじめに

I. 思想史と科学史の接点を求めて
1. On Knowledge in the Pre-Modern Muslim World / MATSUMOTO Akiro
2. Ibn Sina on Dynamics: Historical Context and Conceptual Development in Greek, Arabic, and Latin Sources / MOHAMMAD J. Esmaeili
3. From Astrology Emerged Cosmology: A Close Analysis of Astronomical Activities in the Medieval Islamic World / MIMURA Taro
4. イブン・スィーナー『植物論』における生命・霊魂・意思:植物は「生きている」か / 俵章浩
5. イブン・スィーナーの薬物学における気質理論 / 矢口直英

II. イブン・スィーナー『治癒の書』をめぐる比較思想の試み
1. イブン・スィーナー『治癒の書』の成立をめぐって / 小林春夫
2. イブン・スィーナー『治癒の書』形而上学の構造:最高概念の把握と学問構造 / 仁子寿晴
3. シリア語における『治癒の書』の受容:バルヘブラエウス『叡智の精華』形而上学編の概要 / 高橋英海
4. 『治癒の書』からアルベルトゥス・マグヌスへ:触角をめぐって / 小林剛

III. 社会における知識人
1. ムガル朝の知識人:アブドゥルカーディル・バダーユーニーの経歴とその評価 / 二宮文子
2. 南アジアのムスリムと近代:ウルドゥー語資料を中心に / 山根聡
3. 揺るぎない知識の社会的構成:イスラーム的知識とムスリム知識人の社会学的考察 / 阿久津正幸

IV. シーア派イスラーム研究の現在
1. イエメンにおけるザイド派の展開 / 栗山保之
2. 初期イスマーイール派のイエス論/ その概観と研究の現状 / 野元晋
3. ナーセル・ホスロウにおけるイスマーイール派思想:宇宙論と聖典解釈を中心に / 徳原靖浩
4. シーア派神秘思想とスーフィズム:その連続性とクルアーンの役割 / 鎌田繁
5. 『諸光の大海Bihar al-anwar』:12イマーム・シーア派における知の形態の1例として / 吉田京子

V. 思想史研究の可能性と多様性
1. 民間信仰としてのスーフィズム:聖者信仰をめぐって / 東長靖
2. 『治癒の書:形而上学』所収「カリフ論」試訳 / 橋爪烈
3. 『威厳の書』の構造的特徴:関連著作との比較から / 加藤瑞絵
4. ファナーリー存在論における存在と非存在者:存在の存在証明と必然性の証明をめぐって / 中西悠喜
5. イラン・イスラーム共和国所蔵ヘルメス文書の写本研究序説 / 森下信子
6. イブン・スィーナー『始原と帰還』における直観理論の発生 / 小村優太

媒体の性格上、さほど人目に触れやすいものではないですし、また必ずしもオリジナルな論考ばかりで占められているわけではないようですが、お近くの図書館などで見かけた際には、手にとって見ていただけると幸いです。

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