Donnerstag, 24. November 2011

ゴドラス「ファナーリーと『親密の灯』:注釈者と完全人間」

Godlas, A., “Molla Fanari and the Misbah al-uns: The Commentator and the Perfect Man”, in: T. Yücedoğru, O. Ş. Koloğlu, U. M. Kılavuz & K. Gömbeyaz (eds.), Uluslararası Molla Fenârî Sempozyumu (4-6 Aralık 2009 Bursa): Bildiriler [International Symposium on Molla Fanārī (4-6 December 2009 Bursa): Proceedings], Bursa: Bursa Büyük Şehir Belediyesi, 2010, 31-45.

一昨年にトルコのブルサで開かれたファナーリー・シンポジウム論集収録の1本で、ファナーリーの完全人間論を主題とする論文です。「完全人間(al-insan al-kamil)」とは存在一性論において1つの肝となる存在で、神から与えられる真理を直観することができ、かつ世界の鏡としてのミクロコスモスでもあるような神秘家(ないし人間一般)のことを指します。タイトルから察するに、『親密の灯』の第3部「普遍的神秘の開示章」で包括的に論じられている完全人間に関する議論をまとめた研究だろうと期待して手にとりました。が、そういう役割の文章だったのか、実際には会議自体に関する言及やかなり概論的な内容が大半を占めていて、拍子抜けというかんじでした。

Godlas によると、クーナウィーは『玄秘の鍵』「普遍的神秘の開示章」冒頭部で或る16の問題と、完全人間のみが達しうるそれへの回答を列挙しているそうです。Godlas が取りあげるのは、このうちの最初の6つに対するファナーリーの注釈です。ちなみに以下がその6つの問題です。

1) 人間の実相は何なのか。
2) 人間は何から存在するようになったのか。
3) 人間は何の内に存在するようになったのか。
4) 人間はいかにして存在するようになったのか。
5) 誰が人間を存在するようにしたのか。
6) 何故人間は存在するようになったのか。

しかし論じられるのはこれら6つの質問の意図に関するファナーリーの説明だけで、肝心の回答部分への注釈は取りあげられていません。タイトル負けという印象はぬぐえませんが、この論集には他にも目を通しておいたほうがよいと思われるタイトルのものがいくつか収録されているので、おいおい見ていくことにします(トルコ語のものが多くてだいぶ難儀しそうですが…)。

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[更新後付記]
Chrome で表示すると、何故かタイトルの「灯」の部分が「?」になってしまうようです。エンコードをいじれば解決するのかもしれません。

[付記の付記]
先ほど見たところ、何もいじっていないのに、何故か正しく「灯」と表示されるようになっていました。

2 Kommentare:

  1. Chromeを使っていますがとくにおかしいことはなく「灯」と表示されます。

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  2. コメントありがとうございます。あれ、そうですか!?というか、あれ、直ってる…。なぜだ…

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